もしものときの生活再建入門|第10回(最終回)「半壊の涙」一部は解消されたけれど…

知っていますか? 被災時の支援制度。その仕組みを知ることも、大切な災害対策です。

2018年2月発行号から、番外編を含めて計11本の連載を重ねてきた本コラムも最終回となりました。連載開始以降、制度をめぐる議論と実際の改善は一歩ずつですが進んできた印象です。

代表的な制度である被災者生活再建支援法は、これまでの対象だった全壊、大規模半壊に加えて「中規模半壊」の区分が新たに設けられ、最大100万円の支援金が支給されることになりました。昨年12月4日に改正法が公布・施行。同年に熊本県を中心に大きな被害をもたらした令和2年7月豪雨にまで遡って適用されます。

これは被災者が生活に相当なダメージを受けても、住宅の被害認定の線引きによって支援を受けられない、いわゆる「半壊の涙」と呼ばれる実態への対応です。今まで住宅の構造部などの4割以上に被害が認められなければ受けられなかった支援が、3割台でも認められることになりました。

ただ、支援を受けるためのハードルは下がったとはいえ、まだ線引きがあることは事実。また、今回は使いみちが制限されない基礎支援金ではなく、住宅の建設や補修などの使途に限定される加算支援金のみの対応です。

そもそも支援法は市町村や都道府県単位で適用されるため、同じ災害で被害を受けても適用外の地域では支援がないという「境界線の明暗」も解消されていません。この問題を指摘し続けている岡本正弁護士は「境界線の明暗については法改正は必要ではなく、閣議決定を経る政令改正で済む」として、被災者生活再建支援法施行令1条の早期改正を訴えています。

こうした課題を総合的に解決するために必要なのは、災害法体系の抜本的な見直しと、福祉や民間支援制度もフル活用して被災者一人ひとりに合わせた支援の仕組み。津久井進弁護士らはこれを「災害ケースマネジメント」として確立しようと運動しています。

連載中の3年間も、毎年のように大きな災害が発生して きました。起こってから慌てるのでなく、平時からしっかりと 議論をする「制度の備え」に今後も注目していきましょう。

文=関口威人 イラスト=飯川雄大 (2021年4月発行『震災リゲインプレス』第35号より)


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