もしものときの生活再建入門|番外編2・見直し勧告された「在宅被災者」の支援制度

知っていますか? 被災時の支援制度。その仕組みを知ることも、大切な災害対策です。

災害で壊れた自宅に住み続ける「在宅被災者」の支援制度を見直すべしーー。2020年3月31日、総務省がこんな「勧告」を出しました※。相手先は内閣府。東日本大震災から平成30年7月豪雨(西日本豪雨)までの被災者支援制度について状況と課題をまとめた調査結果に基づくものです。

災害で損壊した家を直す応急修理は、災害救助法の一般基準(内閣府告示)では、災害発生から1カ月以内に完了するものだとされています。しかし今回、調査した全市町村で1カ月以内には応急修理は終わっておらず、熊本地震では熊本県益城町が、国と協議の必要な特別基準を適用してこれを約41カ月に延長しました。

また、内閣府の災害救助事務取扱要領では、応急修理制度を利用した場合は応急仮設住宅への入居はできないとされています。そのため、応急修理制度を利用したものの、修理の長期化などの理由で壊れた自宅に住み続ける在宅被災者がどの災害でも存在。東日本大震災から9年を経た宮城県石巻市では1,653世帯(調査対象の85.4%)に上っていました。

このため総務省は内閣府に対し、1カ月以内という応急修理期間の見直しと、応急修理制度を申し込んだ後も壊れた自宅に住んだままの被災者に応急仮設住宅を供与できるような制度の改善を求めたのです(下の表)。

勧告を受けて内閣府政策統括官(防災担当)は、「財政面や自治体の事務負担増などの課題も洗い出し、できるだけ早期に制度のあり方を検討する」としています。すでに被災地の住民や弁護士などから声が挙がっていた問題ですが、省庁内で明確化されたことで具体的な見直しに弾みがつくと期待されます。よりよい改善となるよう、市民側からも注目していきましょう。

総務省「災害時の『住まい確保』等に関する行政評価・監視ー被災者の生活再建支援の視点からー結果に基づく勧告」

文=関口威人 イラスト=飯川雄大
2020年5月発行『震災リゲインプレス』第33号より)


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