もしものときの生活再建入門|第8回・大事だけれど知られていない公費解体

知っていますか? 被災時の支援制度。その仕組みを知ることも、大切な災害対策です。

 

被災者の生活再建や被災地の復興に深く関わるものながら、まだあまり知られていないのが「公費解体」制度です。

公費解体は文字通り、行政が公費で被災家屋を解体・撤去する制度です。対象は地震や水害で「全壊」「大規模半壊」と判定された被災家屋。1995年の阪神・淡路大震災のころから運用され、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、そして昨年の台風19号などの大規模災害では「半壊」の家屋も対象となりました。

対象家屋の所有者に代わって、自治体が解体工事の発注から支払いまでをします。所有者に金銭的負担は一切かかりませんが、解体工事は原則、申請順に進み、時期は指定できないので、いつ自分の番がくるかは分かりません。また、工事前には家財道具類を自分たちで搬出し、工事完了時は本人か代理人の立ち会いが必要です。

一方、すでに自ら業者に依頼し、解体・撤去工事をしてしまった人や、これから自力で発注する人にも、費用が償還される「自費解体」制度があります。所有者がいったん業者に工事費を支払う立て替え払いの形なので、一時的な金銭負担は発生。また、行政側の工事費算定より高かったら、その分は償還されないなどのデメリットがあります。しかし、公費解体では順番がくるまで時間がかかるため、急ぐ人は自費解体を選んだ方がいいでしょう。

実際の工事にもさまざまな条件や制約があり、細かい相談をしたくなるはず。一方、自治体側の担当は災害廃棄物処理を行う環境部局となるのが一般的ゆえ、並行しての公費解体に苦慮することもあります。台風19号の長野市では、膨大な災害ごみの処理に追われたこともあり、当初は住民に具体的な制度の周知ができず、被災から3カ月目で公費解体の説明会と申請の受け付けが始まりました。こうした状況を改善しようと、弁護士やボランティアも日ごろから勉強会などを開こうという動きがあります。ぜひ普段から情報収集をしてみましょう。

 

文=関口威人 イラスト=飯川雄大
2020年2月発行『震災リゲインプレス』第32号より)


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