「警戒レベル」でどう行動? 新防災情報

 

「レベル4、全員避難です」。テレビ、ラジオでこんな呼び掛けを聞くようになりました。 命を守るために新しくなった防災情報。その意味を考えてみましょう。

西日本豪雨を教訓に

きっかけは昨年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨) でした。東海から西日本にかけ、広範囲で降り続いた 記録的豪雨。気象庁は大雨特別警報の発表可能性が あると緊急会見を開き、多くの自治体も早くから避難 勧告や指示を出しました。しかし、住民にその危機感や 情報の意味が十分伝わらず、自宅にとどまった高齢者 を中心に220人以上が亡くなる被害が出ました。 国はこの教訓を生かすため、中央防災会議に「平成 30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関す るワーキンググループ」を設置。現地調査や有識者委 員による議論を経て年末までに報告書をまとめまし た。そこで新たな取り組み例として示されたのが「警戒 レベル」の導入だったのです。

レベル4で全員避難

警戒レベルは5段階で、「1」と「2」は気象庁が発 表。1は災害への心構えを高める段階、2は大雨注意 報や洪水注意報が発表される段階です。従来、注意報 は具体的な行動とは結び付けられていませんでした が、ハザードマップで避難場所や避難経路を確認するなど「避難に備え、自らの避難行動を確認する」のが 「住民のとるべき行動」として明示されました。レベル3以上は市町村が発令。「3」はこれまでの避難準備・高齢者等避難開始情報に相当し、避難に時間がかかる高齢者や障害者、乳幼児などとその支援者は避難を、他の人は避難準備を整える必要があります。

レベル4は避難勧告と避難指示に相当。すみやかに全員避難し、ただちに命を守る行動が求められます。遠くの避難所への移動が危険と思われる場合は、近くの安全な場所や自宅の2階や3階、あるいはマンションの上階など、垂直方向への移動も避難のうちです。そして最後のレベル5は「既に災害が発生している」 状況。この時点までに全員が避難を完了しているのが 望ましいですが、そうでなければ「命を守る最善の行 動」をとってほしいという強い呼び掛けです。

定着には試行錯誤も

報告書の公表を受け、自治体やメディアでの運用が 始まりました。テレビでは数字とともに赤や紫の色付け で警戒レベルを表示。インターネットを通じてスマート フォンなどにプッシュ通知もされるようになっています。 自治体は防災無線も活用し、今夏は鹿児島県を中心とした大雨で実際に呼び掛けられました。

一方、これまでの「勧告から指示へ」という流れを同レベル(警報レベル4)でまとめることは、有識者の間でも意見が分かれ、当初は「勧告=レベル4、指示=レベル5」の案も検討されました。しかし、「避難指示をレベル5とすると、4では逃げなくなる」「勧告も指示も間に合わない場合がある」などの意見を踏まえて一つに集約されました。当面はどうやって数字とその意味を同時に伝えるかなどを含め、試行錯誤が続きそうです。「自らの命は自らが守る」を基本に、日ごろの備えや防災活動と合わせて定着を図るべきでしょう。

文=関口威人 イラスト=飯川雄大
2019年8月発行『震災リゲインプレス』第30号より)

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