もしものときの生活再建入門|第5回・マンションが被災したら

知っていますか? 被災時の支援制度。その仕組みを知ることも、大切な災害対策です。

自宅マンションが災害に襲われたら……。考えたくはないですが、日本列島ならいつでも、どこでも起こり得ます。特にマンションの多い都市部では人ごとでは済みません。

被災者生活再建支援制度による支援金(本連載第2回参照)は被災した住宅の「世帯主」に発行されるので、マンションの住人も申請でき、最大300万円の支援金を受け取れる可能性があります。使いみちは制限されないため、分譲でも賃貸でも、修理費用や生活費などに充てて構いません。

一方、賃貸マンションの場合、建物の修理や解体は物件所有者、つまり大家の問題となります。地震保険も賃貸マンションの住人なら、主に家財の被害だけが補償されます。

災害救助法に基づく1世帯当たり最大58万4千円の応急修理費用も原則、賃貸マンションは対象外。分譲マンションなら個別の住戸部分に加え、外廊下やエレベーターなどの共有部分も複数世帯で修理する場合は適用されます。これは東日本大震災以降に認められるようになりました。

しかし、分譲マンションにとって難題なのは建物全体の被害にどう対応するか。通称「被災マンション法」(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法)では、大規模な災害でマンションが「全部滅失」した場合は、敷地を共有している人たちの5分の4以上の多数決で再建か敷地売却を決議。「大規模一部滅失」(マンション価格の2分の1超に相当する部分が滅失)の場合は、マンションを所有する人たち
(区分所有者)の5分の4以上の多数決などで建物と敷地を共に売却するか、建物を取り壊して敷地を売却するか、建物を取り壊すかを決議できるとしています。

この法律は国が定めた大規模災害に適用され、阪神・淡路大震災、東日本大震災に続いて熊本地震で3例目となりました。一方、適用外の災害でマンションの再建方針を決めるには、複雑な手続きや所有者全員の同意が必要。意見の取りまとめは極めて難しく、日ごろから住民同士で制度について話し合っておくことが「備え」となりそうです。

文=関口威人 イラスト=飯川雄大
2019年2月発行『震災リゲインプレス』第28号より)


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