宮城県 多賀城高等学校 災害科学科

ゲリラ豪雨を実際に体験できる防災科学研究所の施設での実習
ゲリラ豪雨を実際に体験できる防災科学研究所の施設での実習

防災・減災のリーダー育成を掲げて新設宮城県の多賀城高等学校では2016年度から「災害科学科」が新設される。高校に防災専門の学科が設けられるのは、兵庫県立舞子高校に次いで全国2例目。研究者や企業,地域の防災・減災に関わる中心的な役割を担う人材を育てるのが目的という。

ひとくちに防災・減災に携わるといっても、その立ち位置や役割はさまざまだ。医師や消防署員として、いま目の前にいる被災者の命を救い、被害の拡大を抑えるといった現場での努力は必要不可欠だが、それだけではない。例えば気象の専門家として台風の進路や規模の予報の精緻化を目指す、地震学者や海洋学者として地震や津波のメカニズム解明と迅速で正確な予想を行う、建築の専門家として災害に強い建物作りを目指す、あるいは官庁や自治体職員として専門家の意見を集約しながら災害に強い街作りを目指す。

こうした多領域の努力が、継続的かつ効果的な防災・減災を可能にする。だが、こうした専門職の活動は通常の暮らしからは見えにくく、普通の高校生が進路を選ぶ際に、関連する知識を持つことはまれだ。災害を体験し、近親者を失うという経験をした高校生が、将来、防災・減災を自分の仕事にしたいと願ったとき、そうした進路の知識と、それを選び取るために何を学ぶべきかの情報が加われば、災害対策の視点を中心に据えて活動できる専門家の数は増えるだろう。

「たとえば海底地形の様子,都市型洪水の被害,建造物のコンクリート耐久性,災害時の心理や行動様式などはこれまで注目度が高くない領域でした。このような分野を意識して総合的に考える人が増えれば、日本の防災・減災技術は飛躍的に高まるはず」(多賀城高等学校 佐々木克敬教頭)。

新学科開設を前に、現在すでに普通科の生徒らを対象に、防災科学技術研究所での研修や、海洋研究開発機構などから講師を招き特別授業を開催し、津波の高さを実測するフィールドワークを行うなど準備を進めている。何よりも災害の実情と真摯に向き合い、複合的な視点に立って行動できる専門家の登場を期待したい。

(加藤久人)


多賀城高等学校

http://www.tagajo-hs.myswan.ne.jp
Tel: 022-366-1225

※災害科学科は1学年40人で1クラス編成を予定。理系を中心とする研究者や専門家として、 研究機関や企業、地域で中心的役割を担うリーダー育成を目指す。

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