企業の取り組み|株式会社イトーキ

建築基準法の規制もあり、その基準に達していない建物の耐震改修工事が各地で進んでいる。だが、内部のパーティション(間仕切り)に関しては法的な規制はなく、JIS規格で目安とすべき耐震性が定められているに過ぎない。

オフィス家具の総合メーカーであるイトーキでは、阪神淡路大震災で収納庫の転倒による被害が見られたことから、社内に耐震対策チームを立ち上げ、オフィスの減災対策に十数年にわたり取り組んできた。収納庫を製造する滋賀工場では、自前の振動試験設備を導入し、地震でも倒れにくい製品作りを進めてきた。だが、オフィスの安全性を高めるためには、収納庫だけでなく、パーティションや天井の耐震性能を高める必要がある。それがイトーキの「高耐震間仕切G」開発の原点。だが、法的な基準がないパーティションの耐震性をどこまで高めればいいのか? ヒントになったのは、2013年に公布された建築非構造部材である「天井」や建築設備である「エスカレーター」に課せられた新技術基準*だ。

一般の間仕切りが上下階のズレである層間変位量2cm程度までしか追従できないのに対し、10cm以上のズレに追従できるようにする。さらに、天井面の水平加速度に対しても1Gから、2.2Gに引き上げる。そんな耐震性能を付加したのが「高耐震間仕切G」なのだ。その仕組みは、パーティションの強度を上げるのではなく、揺れや加えられた力を吸収することで、変形や破損を避けるという考え方だ。いかに、地震の揺れを吸収するかが問題だったという。

ロッキングタイプの耐震間仕切。1/40の層間変形角が発生した状況を想定し、10回の繰返し往復加力試験でも変形しない。
ロッキングタイプの耐震間仕切。1/40の層間変形角が発生した状況を想定し、10回の繰返し往復加力試験でも変形しない。

「コストは、従来製品と比較して1.2倍程度になっています。もちろん、すべてのパーティションの耐震性能を緊急に上げる必要はありません。しかし、人命に関わる部分、避難経路、あるいは震災後すぐに使う部屋、例えば対策本部、帰宅困難者の居所に予定している部屋などは耐震化を急ぐ必要があると思います」(建材商品開発部企画課課長 竹田次郎さん)。災害時に被災者支援の本部機能を担う自治体庁舎、避難所になる学校、そして負傷者を受け入れる病院などに設置すれば、より迅速に救援活動、被災者支援活動が開始できるはずだ。もちろん、通常業務の再開も素早くできる。このメリットはコストには代えられない。同社では、オフィスの総合的な減災を図るため、天井の部分的な脱落防止を可能にする製品も開発中だ。

*天井面での水平加速度2.2G、エスカレーター設備に関しての層間変位1/40。加速度2.2Gとは、体重60kgの人が132kgの力を真横から受ける強さの衝撃にあたる。


株式会社イトーキ

Tel: 0120-164177
http://www.itoki.jp

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