箱根山テラス

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森の温もりと共に育む「明日の風景」

岩手県、陸前高田市。大規模な復興土木作業が進む市街地から離れた、静かな森の中にその建物はある。「建物」というより眺めのよい憩いの空間。それが「木と人をいかす」をテーマにした宿泊・滞在施設「箱根山テラス」だ。

施設のシンボルは、豊かな森からその先の広田湾までを見渡せる、階段状の大きなウッドデッキ・テラス。木々の温もりが薫るカフェ&バーや、企業研修にも使えるワークショップルーム、共有キッチンも備える。運営する株式会社箱根山テラスの長谷川順一代表は、テラス手前の小さな屋外スペースに椅子を置き「ここが私の執務室」と笑う。

「地域内外から訪れた方たちが、それぞれの過ごし方をしてくれる場、かつ繰り返し来て頂ける場に育てたい。この広い木製テラスをごく緩やかな階段状にしてあるのも、思い思いの使い方をして頂ければという気持ちがあります」

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計画の発端は、震災で失われた宿泊施設の再建。各々の想いを抱く人々が集う中、色々な議論もあったようだ。それらを経て、最終的に牽引役を請われた長谷川さんは、上記の想いと同時に、ひとつ重要な目標を掲げた。木質資源の活用だ。建物の壁は地元の気仙杉で覆われ、床材も岩手県産材だが、彼がさらにこだわったのは、木質ペレットによるストーブやボイラーの熱エネルギー供給。

「私は市内で建設業を営んでおり、震災後は業務の一環として木質エネルギーの可能性を探り始めました。箱根山テラスは、その実現による地域の自立性向上の一歩にもしたい。将来は近隣への熱供給などにも取り組みたいんです」

sub-fa84ef2a0d10322995c5fb5d0e039a2f5d38244astdさらに、地域外からも様々な職能が関わった過程は興味深い。設計の会田友朗さん、ランドスケープデザインの長谷川浩己さん、環境設計の山田貴宏さん、建設現場の技術管理に参加した日沼智之さんに加え、彼らと同計画のつなぎ役も果たしたのが、プランニング・ディレクター/働き方研究家の西村佳哲さんだ。

「僕はこの場所の役割を“宿の形をした交流施設”と捉えています。最初は施設のロゴやコンセプトのデザインを依頼されての合流でしたが、話し合いに参加する中、思い切って施設自体のあり方にも意見を述べたところ、より深い形で関わらせてもらうことになりました。オープン後もこの場所は、自然な形で地域内外の接点が生まれ、育っていく場となることを願っています」

テラスから眺める遠景は、それぞれの足元から延びる未来にもつながっている。

(内田伸一)


箱根山テラス

岩手県
陸前高田市小友町字茗荷1-232
Tel:0192-22-7088
http://www.hakoneyama-terrace.jp

※宿泊は和洋全14室。丁寧に手作りした朝食付き(昼食、夕食は宿泊1週間前までの相談で手配可能)。2階のロフト付きツイン洋室が人気。宿泊者以外にも解放され、イベント参加やカフェ、バー利用もできる。

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