復興飲食店街「夜明け市場」

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希望の灯ともす にぎわいの横町

日暮れとともに赤ちょうちんとネオンがともる。「スナック」「酒処」……昔ながらの看板に交じって「cafe&dining」「ITALIANBAR」の横文字も。「あ、なんかいい感じ」。引き寄せられるように、カップルや若いグループがその小さな横町へと入り込んでいく。福島・いわき駅から歩いて3分。「復興飲食店街・夜明け市場」の夜の始まりだ。

「被災した飲食店が集まる屋台村をつくろう」

いわき出身の松本丈さんと鈴木賢治さんがこう思い立ったのは3年前の4月。東北大学で建築やまちづくりを学んでいた松本さんは、地域活性化の会社を立ち上げた幼なじみの鈴木さんとともに、東京で福島の食材を使った居酒屋レストランをオープンする予定だった。その準備の最中に起こった震災、原発事故。

東京の街を走るはずだったキッチンカーで地元に戻り、弁当として売ろうとしていたメニューで炊き出しに回った。避難者は喜んでくれたが、生活再建の道のりは明らかに長い。自分たちではすぐ資金が底を突く。営業を再開できない取引先や店のオーナーは大勢いた。継続的な支援、自立できる仕組みづくりが必要だ。それが「屋台村」構想だった。

駅前で場所探しを始めた2人は、さびれたシャッター街となっていた「白銀小路」に行き着く。商店主らの了解を取り付け、手作りで街並みや空き店舗を改修。2011年11月、まずは2店でのオープンにこぎ着けた。

レトロな雰囲気を残しつつ、新しく生まれ変わった飲食店街。復興の象徴として注目を集め、店も郷土料理からイタリアン、フルーツビール、とうふ料理などバリエーション豊かな11店舗にまで増えていく。復興支援の新メニュー開発、店舗2階に起業家らが共同利用できる仕事場「コワーキングスペース」を設けた支援なども評価され、2013年度はグッドデザイン賞、ふくしまベンチャーアワード金賞などを相次いで受賞した。

市場内の飲食店「じゃじゃ 馬」。店主は福島民報いわき支社の元営業部長という 異色の経歴をもつ小磯孝仁さん。看板メニューの盛岡じゃじゃ麺は自慢の特製味噌に酢やラー油をお好みでかけて食べる絶品の味。「高 校生が毎日のように通って くれる。彼らがいいトッピ ングを考えたらメニューに 採用するんだ」と笑う。営業 時間は18:00~24:00、日曜 定休。Tel: 080-5560-6111
市場内の飲食店「じゃじゃ馬」。店主は福島民報いわき支社の元営業部長という異色の経歴をもつ小磯孝仁さん。看板メニューの盛岡じゃじゃ麺は自慢の特製味噌に酢やラー油をお好みでかけて食べる絶品の味。「高校生が毎日のように通ってくれる。彼らがいいトッピングを考えたらメニューに採用するんだ」と笑う。営業時間は18:00~24:00、日曜定休。Tel: 080-5560-6111

でも、「まだお店がそろっただけ。付加価値をつけて食のビジネスモデルを築いていくのはこれから」と松本さんは気を引き締める。「支援する、されるという関係や風評被害を超えて、地域の食文化を自然と楽しんでもらう。その中から福島の問題を私たちと一緒に解決してもらえれば」。

自らIターンを決断し、事務局長として奔走する日々だ。「明けない夜はない」の思いを込めて掲げた看板をくぐりながら。

文=関口威人


復興飲食店街 夜明け市場

〒970-8026 福島県いわき市平字白銀町2-10
Tel: 0246-38-6586(事務局=株式会社 夜明け市場)
http://www.touhoku-yoake.jp/

※いわき駅から南東方向へ徒歩3分、映画館「ポレポレいわき」となり。
各店の営業時間・定休日は上記ウェブサイトなどで確認を。

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