企業の取り組み|味の素グループ「健康・栄養セミナー」

慣れない手つきで料理に挑む参加者。岩手県山田町での「男の料理教室」の風景。もちろん、女性を対象とした教室も開催されている。

食べることは生きること。人間、食べてさえいれば、命は繋げる。だが、その質が問題だ。津波で家族を失い、仮設住宅で暮らす独り暮らしの人々の中には、ぬぐいきれない虚無感の中、料理を作り味わうといった喜びを手放してしまった人々も多い。できあいのお弁当や簡易な食品だけでは、栄養も偏ってしまう。かといって、特に中高年の男性の場合は料理といっても何から始めていいのかわからない。

こうした人々が被災地の各地に数多く存在しているという。そこで登場したのが、移動式キッチンを使った参加型の料理教室「健康・栄養セミナー」。本業である「食」を通じた被災地支援・復興応援のあり方を模索していた味の素グループが現地のNPOや栄養士の組織、自治体などの地域のパートナーと共同で始めた復興応援活動。地元の旬の素材を使い、野菜中心の減塩メニュー、しかもおいしくて作りやすいレシピを栄養士さんらと作り上げ、仮設住宅に住む人たちを集め料理教室を開く。参加者全員が包丁を持ち、鍋をふる。

できあがった料理は、みんなで食べる。作り方や、栄養の知識もさることながら、参加者がここで出会うのは、みんなで食卓を囲み、食べる喜び。津波で奥様を失って仮設住宅に1人でお住まいの男性が「生きる楽しみを与えられた」と述懐する姿もみられたという 宮城県の仙台と岩手県の遠野の事務所に常駐する5名の社員が中心になり、定期的に開催。2011年10月1日に始まったこの料理教室は2013年11月末現在、岩手、宮城、福島3県32市町村合計で約600回開催し、参加者数は10,000人を超える。

「社員のボランティアも参加するのですが、彼らが口を揃えるのは『食の持つ力』です。現地で被災者の笑顔に触れ、ともに食べる体験の中に、改めて日常の食事の大切さを噛みしめる者が多く、社員教育の面からも大きな成果を上げています。現地では支援団体がどんどん減っていく中、社内からも末永く続けて欲しい、という声が高まっています」(味の素(株)CSR部長沖田憲文さん)。

「食」に従事していた社員が改めて気付く「食」の大切さ。各地の教室で起こる小さな「奇跡」の情景が目に浮かぶようだ。 この活動を知り、協力を申し出てくれる団体も巻き込み、プロジェクトはさらに拡がりを見せる。同種の企画を行うNPOにはより小型のキッチン台セットを提供した。実は、こうした教室を必要としているのは被災地だけではない。彼らの活動が地域のNPOなどに引き継がれ、全国に拡がれば、と思う。


味の素グループ 東北応援「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」

http://www.ajinomoto.com/jp/activity/csr/earthquake/project/

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