ロメオ・パラディッソ

メイン_374A0110

かっこいい男を見に、福島へ行こう


喜多方や会津若松を従える西側の「会津」、東北第2の都市と言われるいわき市から海沿いを北に伸びる「浜通り」、そしてその間に挟まれた福島市を含む「中通り」と、福島県は大きく3つのエリアに分けられる。

「震災以前から、中通りには地域特有の文化や観光がないと言われていました」。そう語るのは、今年11月に福島市で舞台の旗揚げ公演を行うロメオ・パラディッソ(以下、ロメオ)のプロデューサー、佐藤健太さん(31歳)。飯館村で消波ブロックの製造業を営んでいた佐藤さんは、2011年5月に知り合いの多かった福島市に移り住んだ。

「中通りには復興支援のためにたくさんの人が集まってきてくれるのに、連れて行く場所もなければ、見せてあげられるものがない。ならば、自分たちで楽しいことをつくり、提供すればいいんじゃないか」

手段やきっかけはなんでも良い。とにかく福島に来てもらおう。その第一弾としてチャレンジしたのが演劇だった。

「舞台をやっているプロの方からすれば、『素人に何ができる』と思われるでしょう。しかし、自分たちが立ち上がり、行動しなければ、この土地には後にも先にも何も残らないような気がして」

世界的に知られる宝塚歌劇団も、1913年の設立時は宝塚新温泉(後の宝塚ファミリーランド)への旅客誘致を目的に、わずか16人の少女でスタートしたという歴史を持つ。それが時代を経て、いまや宝塚=舞台と認識されるように、エンターテインメントは街自体のイメージを変える可能性をもっている。ロメオのメンバーが全員男性というのも、まさか宝塚を意識しているのでは……と勝手に想像してしまう。

「積極的に復興支援に参加するのは女性がほとんど。男だけの力で何ができるのか。そこに挑戦したかった。『西の宝塚、東のロメオ』なんていうのは、夢のまた夢。確実なものを得るには、宝塚が歩んできた100年以上の時がかかることは覚悟しています。いまは、舞台を見てちょっとでも楽しんでもらえたら。そして、また福島に来たいと思ってもらえたら。そのはじめの一歩になれば嬉しいです」

初舞台に向けた稽古の様子。演劇指導は、福島市の劇団、満塁鳥王一座で劇作家を務める大信ペリカンさんが行った
初舞台に向けた稽古の様子。演劇指導は、福島市の劇団、満塁鳥王一座で劇作家を務める大信ペリカンさんが行った

こうして集まったのは、17歳から47歳まで総勢33名の男たち。手探りながらも次第に自覚が生まれ、周囲から激励の声が飛ぶようになった。ロメオの男たちは、自分たちがきっかけになって福島が変わるかもしれないという希望を胸に、2ヶ月後に控えた初公演のため、日々の仕事をこなしながら、週4回の稽古を重ねている。
(猪飼尚司)


ロメオ・パラディッソ

http://func.tv/
http://www.facebook.com/lomeoparadiso

※ロメオ・パラディッソ旗揚げ公演は、 2013年11月16日、福島市公会堂にて開催された。

Share this: